クレモナのバイオリンメーカーたちが速乾性の酒精ニス(セラック)を
使うようになってバイオリンがだめになったと論評した評論家がいたのであるが、
実は、酒精ニスが悪いわけではないと、The Art of Violine Makingには
書いてあった。
ただ、もろいセラックニスが安物のバイオリンに使われ、酒精ニスの
評判を落としたとも書いてあり、どっちなんだ~と思っていたが、
この本で紹介しているニスの作り方を見ると、seedlacを主成分と
しているので、ようするにセラックニスである。
もろいセラックニスというのは、セラックが悪いわけではなく、
おそらく精製不足か純度の低いアルコールを用いたことが原因だと
考えられる。
ちゃんと、メチルかエチルの無水のものを使えば問題はないはずである。
ということで、安心して、楽器の塗装にはセラックニスを用いて良さそうだ。
ところで、セラックニスはどこを調べても速乾性で30分で重ね塗りが可能と
書かれているのであるが、私が使った感じではどうも乾きが悪く、数日経っても
指で塗装面を強く押すと指紋がついてしまう。
どうやら、私が買ったニスは楽器用には濃すぎて希釈して使わないと
だめらしい。しかも刷毛の使い方もなれていないので、結局あちこちと
汚しまくって遠目にはいいけれど、かなり雑な仕上げになってしまった。
次に使うことがあれば、2~3倍に希釈して使うこととしよう。