アダルト・ヴァイオリン May the force be with you..

2010年12月30日

G線上の魂柱

Filed under: バイオリン製作(アンダルシア) — い~ぐる @ 12:24 AM

通常の魂柱に加えて、G線側に魂柱を立てるというと、思い出すのが、ロケット博士の糸川さんが作ったバスバーが2本あるイトカワ号だ。もちろん、イトカワ号には、魂柱は1本しかないので、魂柱2本は、完全にオリジナルアイデアだ(他の例があるのかは知らない)

昔、イトカワ号の調整をしたアルテ工房の山岸さんに話を聞いたところ、イトカワ号はバスバー(トレブルバー)の上に魂柱を立てなくてはいけないので、魂柱を立てるのにかなり苦労したとのことだった。

今回のG線上の魂柱も、位置的にはバスバーの上に立てるべきだけれど、とりあえず、実験としてはそこまで苦労したくないので、バスバーの外側に立てた。

この位置、バスバーが邪魔をするし、下にはラベルがあって、魂柱を思ったところに移動するのが、案外と難しいので、細かな位置調整はしていないけれど、本来、板の振動バランスをとる必要があるので、最適な位置はあるはず・・・いつか、計算で求められるようにしておきたいものだ。

E線側を多用する曲と、G線側を使う曲の2曲を録音してみた。

その音は・・・

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2010年12月29日

バスバーの音響重心と魂柱の関係

弓でバイオリンを弾いた時に、駒は水平方向に力がかかり、表板はG線側とE線側で逆方向に駆動される。

表板をひねるこの振動モードをFry教授はロッキングモードと呼んで、このモードが音響的に悪影響を出すとしている。

ロッキングモードでは、空気を押す方向が楽器の左右で逆相となるので、少し離れたところでは、音波が相殺されて、振動が届きにくい。

そこで、Fry教授はロッキングモードを押さえるような板厚分布とするために、表板を裏から削っている。

彼の理論は理論として、ロッキングモードを抑止する方法をもう少し考えると、魂柱とバスバーの関係から何か出来るのではないかと思いついた。

表板は、E線側では、魂柱を中心としたシーソー運動をするので、G線側のシーソー運動の支点を駒よりも上に持って行くと、支点を中心に駆動方向が逆相になるので、結果として表板を同相で駆動できるはず。

D線を弾く時に、この理論の効果を、もっとはっきりさせるには、バスバーを止めて、G線側の駒より上に魂柱を立てると良さそうだ。ただ、そうすると、駒の縦方向の駆動に対して逆相運動が発生してしまい、縦方向の成分の多いG線を弾く時に好ましくない。

バスバーの機能として、剛性向上の話は色々な本に出ているけれど、上の音響重心によるロッキングモード回避の話は見たことがないので、新理論発見か?(笑)

D線、G線が残念な音のアンダ君のバスバーをF穴から少し削ってみたが、軽く弾いた限り、方向としてよい方になったような気がするけれど、夜中なので大きな音を出す訳にはいかず、確認は後日ということで。。

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