よく30%省エネなどと宣伝されるインバーター式蛍光灯の話だ。
実測したわけではなくメーカーの宣伝文句だが、とりあえず、30%省エネだと仮定しよう。
我が家では7年ほど前にペンダントライトを3つ購入し、そのうちの2つはインバーター式とした。私のことだから、当然ながら店で一番安価なものを選択したのだが、それでも、インバーター式のペンダントライトは1万円程度はしていた。
そのペンダントライト、実は昨年末から今年にかけて、インバーター式のものだけ相次いで故障した。
最初の故障の時、ユニットを分解して原因を探っていたが、パワートランジスタがショートモードで故障したので、ヒューズが飛んでいた。だが、パワートランジスタにつられてドライバのトランジスタも故障しており、故障箇所は多くに渡りそうな予感がして、そこで追求は留めている。
先日、2つめのペンダントライトが故障したときにも症状は同じだったので、原因は同一と思われる。
7年経っているので、おそらくどこかの部品が経年変化で寿命を迎えるように設計されているのだろう。こう相次いで故障するということは極めてばらつきが少なく寿命管理されているように思われる。
ところで、30%の省エネというのは、この7年で故障という状況に見合う経済性を持っているのだろうか?とふと疑問を感じて計算してみる。
ペンダントライトは70Wタイプなので、30%の省エネということで、50W程度で同一の明るさが得られているものとしよう。
我が家では、ペンダントライトの稼働率は低く、一日当たり5時間程度だろう。また、3つの部屋の1つにしか私はいないので、更に稼働時間は減る。これらを適宜計算すると、7年間の使用において、電力単価が23円/kWHとして、3700円程度の電気代節約が行えたことになる。
初期投資が1万だったとして、7年の間に蛍光管も1回は交換している。これらを電気代節約で補填したとすると、7年で8千円程度の負担となっている。
一方、ペンダントライトの故障で急遽代替品として使ったのが、松下電工の由緒正しいキーソケットである。
これにレセプターをつけても500円もしない。電球は100円ショップで2個105円で購入可能だ。100Wの電球は70Wのペンダントランプに比べて30%程度消費電力超過であるが、電気代を加えても7年ではこちらの方が圧倒的に安いだろう。
省エネなんて言葉に踊らされてはいけない。
ちなみに、最近流行のハイブリッドカーなども同じような議論ができる。あちらは、確実にやってくる電池寿命+電池交換がかなりの高額になるはずであり、それまでのガソリン代節約効果がどれほどになるのかをよく考えなくてはなるまい。
(もっとも、ステータスとしてエコ製品を買う人たちにはこういった議論も無意味かもしれないが、彼らもエコ製品を製作する過程でのCO2排出量をもう少し考える必要はあるかもしれない。)
30%の比較対象は
グローランプタイプの蛍光灯と比較して 30%じゃないですか?
http://www.eccj.or.jp/qanda/he_qa/elec/d0407.html
コメント by ytaro — 2008年2月9日 @ 12:15 AM
Unknown
ytaroさん、コメントありがとうございます。グローランプ型比であることは分かっていますが、高周波点灯で発光効率が高い分を電力を減らして点灯しているのか、明るくしているのかが明確じゃないんですよね。
SSS68さん、わざわざ計算いただきありがとうございます。この記事は短寿命の「インバーター式」ペンダントライトについての話です。蛍光灯一般の発光効率の話はしておりません。
また、最後にお書きになられているように、同じ明るさを求める必要はないのです。我が家の6畳程度の部屋では、100W形電球(消費電力は90W)でも生活上全く問題はないので、70W vs. 90Wになります。また、稼働率を見逃されているようですが、我が家での電灯稼働率の低さもこの議論の前提になっています。
CO2の問題は、昨今取りざたされていますが、電子回路まで廃棄することになる電球タイプのインバータ形蛍光灯の場合、生産段階から寿命までの総CO2を計算してみないと、どちらがCO2的にも有利なのかは一概に言えないのではと思っています。
それと、私は蛍光管自体の発光効率の高さを否定しているわけでは全くないですよ。高度(短寿命)な電子回路を用いない、グローランプタイプで、シンプルな20W単灯式直管型のペンダントライトの安いものがあれば変更予定です。
コメント by 組み込まれたエンジニア — 2008年2月13日 @ 5:23 PM