アダルト・ヴァイオリン May the force be with you..

2005年6月28日

アンドロイドの脳

Filed under: 読書感想 — @ 8:36 AM

アンドロイドの脳という本を読んだ。

これは、ルーシーとい類人猿の姿の人工頭脳を作り出そうと努力するスティーブ・グランドの書いた本。

古典的な人工知能の理論から離れ、多くのコネクショニストたちの方法論とも離れ、知能の働きを持ち前の観察眼で分析しながら、実際にコンピュータのプログラムに変換していく過程をストーリー化している。

こう書くと、難しそうだが、彼が言いたいのは、人間とは何か、知能とは何かをルーシーの製作を通じて探求しているということだ。本の中にプログラムなんて全く出てこないので、ルーシーのコピーを作りたいという向きには不満があるだろう。

彼がやっていることは、宗教関係者から糾弾されるのであるが、彼の宗教に対する考え方は驚くほど私自身の考えに似ている。

また、意識を物体と独立した存在として考える宗派に対しては、本書に示されるダグラス・アダムスの言葉
「卓越した有機体の成果である、複雑ですばらしい意識を、大きさも質量もないたんなるゼリー状のものへと格下げすることは侮辱にほかならず、また、なんの説明にもならない。」
を送りたい。

彼は減っていく銀行預金と戦いながら、独力でルーシーの開発が続けているが、こういった努力が何かしらのサポートを受けられるような世の中になって欲しいものだ。

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